コンクリート衝撃試験:デジタル画像相関法によるクラック可視化
コンクリート板に錘が衝突する様子を高速度カメラを用いてデジタル画像相関法(DIC)計測し、瞬間的なクラック開閉を可視化・定量評価しました。
概要
物体が衝突した際の部品強度や安全性能を評価するために、錘を対象に衝突させる衝撃試験が実施されることがあります。本事例では、厚さ60mmのコンクリート板に錘を衝突させた際に、コンクリート板裏面の様子を高速度カメラ(ハイスピードカメラ)を用いてデジタル画像相関法(DIC)により計測しました。これにより、1/10,000 秒の時間スケールで、中央の衝突箇所よりひび割れ(クラック)が進展している様子を可視化できました。
デジタル画像相関法(DIC)を用いるメリットとは?
- 高速度カメラを用いることで、高速度現象も計測可能
- 事前の予測が難しいひび割れの発生位置も、ひずみと変位のカラーコンター図より容易に可視化
- 接触式センサの取り付け位置を事前に決めることなく、試験後に任意の位置のデータを分析可能
デジタル画像相関法(DIC)計測結果
- 使用カメラ:Fastcam Mini AX200 (株式会社フォトロン)
- 撮影速度:12,500 fps
- デジタル画像相関法(DIC)解析ソフト:GOM Correlate Professional 2018
ひび割れの可視化
ひび割れが生じた箇所を、最大主ひずみと変位のカラーコンター図より、可視化しました。DICを用いてひずみを面で計測することにより、主ひずみの値と方向も取得できます。ひび割れが生じた箇所では、局所的に2点間の距離が大きくなりますので、それを最大主ひずみの変化という形で検出することができます。さらに、ひび割れが生じると、物体の表面は物理的に断絶した不連続状態となります。そのため、変位のコンター図においても、変位が局所的に不連続になる様子を確認できます。
ひび割れ幅の時系列変化
ソフトウェア上で任意の箇所のひび割れ幅を取得することができます。本計測では、試験後の目視観察では発見できなかったひび割れが、錘の衝突直後に開き、すぐに閉じている様子を確認できました。
ひび割れ幅は、ひび割れを挟む位置に設定した2つの計算点間の距離を用いております。(引張・せん断のひび割れモードは考慮できませんが、傾向を把握するという点では非常に有効です。)

本結果は、高速度イメージングとフォトニクスに関する総合シンポジウム2019 にて講演発表いたしました。
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